日蓮大聖人の門下たち🍀🌻🌱

 

〈子どもと学ぶ日蓮大聖人の門下たち〉

    大田乗明と曽谷教信

 

 

 

 下総国(千葉県北部とその周辺)で、日蓮大聖人さまの門下として、団結して信心を貫いていたのが、大田乗明と曽谷教信です。

 社会で深く信頼されていた二人は、富木常忍と共に、下総国に住む門下の中心としても、どっしりと構えて、信心に励んでいました。  大聖人さまは、そんな二人を、たたえられています。  「二人とも、門下として立派に頑張っていますね。これからも、互いに励まし合って、法華経の教えの通りに行動していくのですよ」  大聖人さまは、仲良く進む二人を、とても頼もしく感じていたのです。

 

またある時、大聖人さまは、曽谷教信に次のように教えました。  「私は法華経の教えを広めてきたので、これまで何度も命を狙われ、伊豆や佐渡に流されてきました。しかし、私は、いまだに心を曲げたことはありません」  この大聖人さまの心を胸に、二人も多くの困難に立ち向かいます。

 大田乗明は、ある年、病気になってしまいました。大田乗明が、そのことを大聖人さまに報告すると、大聖人さまは、「あなたには法華経の教えがあるのだから、絶対に乗り越えていくことができますよ」と。その励ましを胸に、大田乗明は負けない心で、信仰を続けていったのです。  

また、曽谷教信は、蒙古という国が襲ってきた時、大聖人さまにお手紙を送り、不安な気持ちを相談しました。  身延で病と闘われていた大聖人さまでしたが、すぐさま筆を執り、“戦場に行かなければならないかもしれない……”と心配する曽谷教信に宛てて、つづりました。

「あなたと私とは仏法の絆で結ばれています。だから、何があろうと必ず、その絆によって、再び会うことができますよ」

 時を同じくして蒙古は暴風に襲われ、逃げ帰っていきました。  どんな人生の荒波の時も、大田乗明と曽谷教信は励まし合いながら乗り越えました。そして、多くの門下も、二人の姿をお手本に、信心を貫いていったのです。

[道しるべ]弟子の模範の闘争  「両人共に大檀那たり」(新1409・全1038)――“あなた方二人は、立派な弟子です”。日蓮大聖人は、大田乗明と曽谷教信をこのようにたたえておられます。  大聖人は、度重なる難との闘争の中で、身延に入山された頃には、多くの経典などを失っておられたようです。  経典類は、大聖人が諸御抄で引用されるなど、妙法を広めていく上で欠かせません。そこで、大田乗明と曽谷教信に、二人の所有する領地や周辺の寺々に所蔵されている経典等の収集を依頼されました。その依頼のお手紙に、冒頭の称賛の言葉がつづられているのです。  経典類の収集に尽力した後、二人には、戦乱の不安や病などの多くの苦難が襲いましたが、信心根本に乗り越えます。そうした二人を、周囲の人々も“門下の模範”としていったことでしょう。  池田先生は、広布の責任を担い、戦い抜く“王者の心”について、「王者に恐れはない。逡巡もない。気取りもなければ、威張りもない」「現実社会の只中で、法華経の兵法を掲げて大闘争を続ける。そして、後継の宝の若人を慈しみ、自分以上の大人材へと育てゆくのだ」と、つづっています。  妙法を胸に、眼前の課題に立ち向かい続ける――これが“信心の王者”たる弟子の模範の闘争なのです。 [地図]